GPLは契約以外で捕らえることは不可能じゃないだろうかと言う突っ込み を貰ったので続き。 ご本人の日記 にも記述があります。
まず最初に。こういうのは私なんかが出てこずに、法律家な人に任せておくのが一番だと思います。 以下の記述はいい加減な推測を大量に含むので適当に受け取って下さい。
まず、license という言葉自体は "許諾(条項)" であって "契約(=agreement)" ではないのではないだろうか。
GPL 条文中でこれは明示的に使い分けられているように見える。 基本的に lisence と言う語だけに統一されており、agreement が出てくるのは、 7 項目目の「(GPLと衝突するような他の)契約によって」と言う記述だけになっている。
5項目目に強制的な同意に関する記述があるが、これは「著作権で禁止されていることを するためにはGPLを受け入れるしかないから、自動的に受け入れたことになる」と言う事だけだ。
思いっきり「契約書」と書いてあるな。この辺は議論済みなんだろうか。
とりあえず、 原文のみが有効である と言うわけで参考程度に。
"Who has the power to enforce the GPL?" や "Why does the FSF require that contributors to FSF-copyrighted programs assign copyright to the FSF? If I hold copyright on a GPL'ed program, should I do this, too? If so, how?" あたりをみると、確かにGPLが契約であるとは読めない気がする。
基本的に GPL の強制力を持つのは(頒布者ではなく)著作権保持者であるとのこと。 そのためにわざわざ FSFへの著作権の譲渡をお願いしている 。
GPL自体はは契約書として書かれた物ではない、と言うのは確かに思える。
FSFが何故こういうスタンスを取ることにしたのかに関する記述は見つけられなかった。 たぶん、様々なコストをかぶるのを嫌ったと言う事じゃないだろうか。 FSF自身も面倒だが、このライセンスを適用する人も物凄く面倒な事になってしまう。 何せ使用者といちいち契約しないといけないのだから。 これでは広まらないだろう。
レッシグ教授のインタビューにも
LL:フリー・ソフトウェア財団以上のことはやろうと思っていません。それを超えるような義務を課すつもりはありません。そうでないと契約にまつわるいろいろな悪夢に悩まされることになるでしょう。クリアーでエンフォーサブルにしておくことが重要です。
[ローレンス・レッシグ教授インタビューより引用]
と言う記述がある。
そもそも、著作物に対して、GPLの様に免責事項付きの許諾条項を法的に 有効なものとするためにはどうすれば良いんだろうか。 勿論、一番確実な方法は契約を結ぶことだろうが、他の方法でも可能だろうか。
GPLの記述では、単に 「ソースファイル中に著作権表示とライセンス条項(へのポインタ)を入れなさい」 とある。もしかしたら、 アメリカの著作権法 には、こういう許諾条文をつけて配布できる規約でもあるのかと思ったが、見あたらなかった。
そして、日本の著作権法にも、 少なくともこの条文中には条件付き許諾方法の定義はない。
しかし 先の記事 に依れば、単に不行使宣言とみなせば免責事項が有効にならないとのこと。 まあそれはそうだろう。そもそもGPLは単なる権利放棄宣言ではない。 しかし議論にすらなっていないと言うことは、 こういうライセンスは不可能だと言うことなのだろうか。 それはかなり困ったことになる。
もし、法的に免責事項付き許諾を与える手段が契約しかないとするならば、 GPLを完全に適用する手段は2つしかない。 「GPLの規定に従います」と言う契約を結ぶようにするか、 GPL 自体を契約とみなすか、のどちらかだ。
しかし、GPLそのものを契約とし、良くあるEULAの様に扱うのは非常に危険だ。 先の記事 に書かれているとおり、GPLはソフトウェアの「使用」に関しては一切規定していないため、 GPLに同意しなかったとしても使用できる。 実質(5項にひっかからない範囲で)他の規定を無視する事が可能になってしまう。 つまり無保証・免責に関する条項は全て適用されない事になる。
かといって、「このソフトウェアを使用するためにはGPLに同意しなくれはなりません」 の様な契約をいちいち結ばないといけないとしたら、正にレッシグ教授の言うように "契約にまつわるいろいろな悪夢に悩まされる" だろう。
もしくは、もうGPLの免責事項を諦めてしまうか、だ。
重要なのは コピーレフト であって、GPL はそれを実現する一形態でしかない。 どうしても解決したければ、 GPL2.01 でも出して「日本ではこう」みたいな 条文を足したりすれば終わりだろう。
このへんは mhattaさんのプレゼン (PDF ( (google の HTML 版 ))、同じく GPLなんかどうでもいい (って、これ google で引っかかっちゃったんですが良いのでしょうか……) 辺りが素晴らしいのでそちら読んで下さい。
昔々高校の頃にpart1(?)を買って以来 見たこともなかったので、てっきり消滅した物だとばかり思っていた。 こちらの方も改訂しているし。意外に売れてるんだろうか。
ビジネス向けみたいに書いてあるが、ホスト名とかキャラクタ名とか それ以外の目的でかなり使える。
しかし part2 は薄くなった上に言語がアラビア語とか韓国語とかで微妙かも。