ぼくはわが部族を見放したりはしない。もう 20 年以上にもわたって、ぼくはむかつかないソフトにあふれた世界に暮らすことを夢見ていた。きれいで、強力で、信頼できて、きちんと書かれたコード、技術屋たちが愛して誇れるコード、ボロボロで穴だらけで悲惨で罵倒するしかないような代物じゃないコードの世界だ。人々に、胃潰瘍じゃなくて選択を与えるようなインフラ、独占によるロックインじゃなくて、自由を与えるインフラ。そこへの道として、オープンソース・モデルはいちばん見込みがありそうだと信じているし、ハッカー文化の力と自由市場が手を組めば、それがうまくいくとぼくは信じている。勝てるよ。世界をほんとうにましな場所にできるんだ。ぼくたちにはそれだけの脳味噌も人物も持っているんだ――もし技術との関係だけでなく、お互いとの関係においても、最高のものを求めるようにしさえすれば。
------- Eric S. Raymond (山形浩生 訳) | |