非常に面白かった。一読の価値あり。
しかし、中に出てくる例が随分古いなぁと思っていたら、何と原書が 1954年、訳が 1968年 に出ている。今でも実例以外は全く古いと思わせないところが凄い。逆に言えば、それだけ進歩がないと言うことなのか。
『──お前が自分を馬鹿だと放言するのは自由だ。そう思うのも、別にいいだろう。だが……それを理由にして、思考を止めるのはよせ。本当の馬鹿はそこから生まれるからだ』
『──いいか、近藤。自分を賢いと思っているやつは、方向性の差はあれ確かに頭がいい。彼らはそう思うと同時にそうあろうとしているからだ。彼らは自分に思考を課している。自分に求めている頭の良さを、彼らは思考することで常に引き出そうとする。彼らは他人より少しでも多く、考えようとしているわけだ。
自分が嫌いでも、意志に力はないと思おうともお好きに。ただし。思考していますか?
なんか色々な人を敵にまわしてる気がしますが……
日常を描写するなら、絵か地の文の大幅強化が必須。特に地の文。中盤読んでてちょっと辛い。それよりも。
転換点が〜 折角良かったのに! ちょっとぞっとしたのに! その後がぁぁぁ。何て勿体ない!! それから、思わせぶりなのは止めた方が良いと思った。
ともあれ、あの纏めかたはちょっと幾ら何でも。結局誰も死なないのか。日常を描いた物語だから? 予定調和だから? 安い奇跡だ。
せめてバッドエンディングの方でちゃんと書いて欲しかった。死にかけてると言うのにあの扱いは悲しすぎる……
日常の描写では主人公のへたれ具合が際立つ……
未消化なものが残っているような気がする。何処だか忘れてしまったけど。