デビュー作の「灰色のアイリス」を読んだときには、 もう読むことはないかもと思っていたのだけれども。
基本的には天才的な絵の才能を持つ少女の誕生のお話。 そしてやっぱりラブストーリーでもあります。そこはあんまり主体じゃないけどね。
アイリス1巻から比べれば、格段に読みやすくはなっているけれど、 欠点を挙げれようと思うと一杯出てきてしまう。 相変わらずサブキャラの行動はどうにもちぐはぐだとか、 展開がステロタイプすぎて先が読めるとか、 そして何より小道具としての絵があまりに万能だとか。 作中での絵の扱いは、水戸黄門の印籠が遠くに霞む強力さである。
……しかしね。
そんなことは全くどうでも良くて。
これは幻想なのです。 見た人全ての人生を一撃で変るような絵が存在する、 もしくはそう言う絵を描くことが出来る、と言う幻想。 そのあたりに感ずる所が有るかどうかが、楽しめるかの境じゃないかな。 さもなければ「えー?」と言うだけで終わりの物足りない話だと思う。
ともあれ、とても久しぶりにライトノベルを読んだ! という感じがする。 かなり満足。